観光あり社員旅行の経費処理と税務調査の注意点
こんにちは。こんばんは。
千葉市花見川区(新検見川)で公認会計士・税理士をしています、岸会計事務所です。
今日は、研修旅行の経費と観光の境界線について、ブログ記事にします。
会社の福利厚生の一環として実施される「研修旅行」。
社員のモチベーションアップや業務知識の向上などに有効ですが、税務処理を誤ると経費として認められず、課税対象となってしまう恐れがあります。
特に「観光」が含まれる場合は注意が必要です。
この記事では、研修旅行が経費として認められる条件や、観光とのバランスの取り方、税務調査に備えたポイントについて解説します。
研修旅行が経費になるための4つの条件
法人税基本通達や国税庁のタックスアンサーでは、以下の4つの要件を満たすことが必要とされています。
① 研修目的が明確であること
単なる社員旅行ではなく、「研修」や「業務視察」が目的であることが明確である必要があります。
スケジュール表や研修資料、訪問先の記録が求められます。
② 従業員の過半数が参加していること
参加者が少数であると「私的旅行」とみなされやすくなります。
原則として、全従業員の50%以上の参加が目安です。
③ 旅行期間が適正であること
「社会通念上妥当な期間」である必要があります。
海外旅行でも、4泊5日以内が一般的な目安とされています。
これを超えると遊興性が高いとみなされることがあります。
④ 観光が主目的でないこと
観光や自由行動が中心になってしまうと、全体が経費として否認される恐れがあります。
あくまで「研修が主目的」であることが大前提です。
観光を含む日程構成のコツ
観光を全く含められないというわけではありません。
以下のように構成すれば、税務調査でも説明しやすくなります。
研修中心のスケジュールを組む
例)2泊3日の旅行の場合:
1日目:午前研修+午後視察+夕方会議
2日目:午前ディスカッション+午後観光(自由行動)
3日目:午前まとめ講義+帰路
観光は1日あたり2~3時間程度に抑え、全体の30%未満にとどめるのが理想です。
税務調査でも通用する日程表と報告書の作成
税務署から確認を求められたときに備えて、以下の資料は必ず保管しておきましょう。
必要資料の例
- 詳細な日程表(業務時間・観光時間が分かるもの)
- 研修資料・議事録
- 参加者名簿(社員全体の過半数であることを示す)
- 研修レポート(各自が書いたまとめが有効)
観光費用と研修費用の仕訳のポイント
観光にかかった費用を経費に含めると否認リスクが高まります。
以下のように明確に分けて処理しましょう。
- 交通費(移動)~経費計上OK・・・ 旅費交通費
- 宿泊費(業務目的)~ 経費計上OK・・・ 福利厚生費あるいは旅費交通費
- 講師料 ~経費計上OK・・・ 支払手数料あるいは講師料
- 観光代(入場料等) ~経費計上不可 ・・・個人負担
- 個人的なお土産代など ~経費計上不可・・・ 個人負担 or 立替金処理
まとめ:観光=即アウトではないが「主目的」は研修であるべき
社員のリフレッシュやチームビルディングを目的とした研修旅行は、うまく活用すれば大きな効果を発揮します。
しかし、税務的には慎重な対応が必要です。
「観光は控えめに」「証拠はしっかり残す」「目的と効果は明確に」
これらを守れば、税務調査でも安心して説明できる研修旅行となります。
投稿者プロフィール

- インターネットビジネスを約10年副業でやっている税理士
- 千葉市花見川区(新検見川)でインターネットビジネスを始めて約10年経過。いまだに現役であるため、インターネットビジネスの会計・税務処理を得意としている。インターネットビジネスにおいて、10年の知識と経験を持つ税理士は、日本では見当たらないとの定評がある。
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